ラルク好きの病弱主婦が綴る、日々や過去のコト。現在旦那と別居中。

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我が子はペット

2008 - 07/08 [Tue] - 16:13

2003年 春

4ヶ月も離れていたのに、けいちゃんは子供が生まれた感動もなく、それまでと何等変わらない生活をしていた。

りゅうの夜泣きでけいちゃんを起こしてはいけない、とけいちゃんは寝室で寝て、私とりゅうはリビングに毛布を一枚敷いてそこに寝る事にした。
「夜泣きしたら、俺もみるよ。」
そんな言葉を勝手に期待して、勝手に裏切られる。

私はまたりゅうが昼夜逆転したらどうしようと思っていたが、りゅうは東京に戻って来てからも夜は眠ってくれた。
一晩中泣いていたりゅうを知らないけいちゃん。
「ちゃんと朝まで寝るじゃん。」
「こっちに戻ってくる直前まで大変だったんだよ。」
「あぁ・・言ってたね。」
私がまるで大袈裟に話しているかのようだった。
連日の長時間の夜泣きも、顔中に出た湿疹も、けいちゃんは知らない。

「俺、子供が好きだから!」
そう言っていた言葉は本当なんだろうか。

「全然りゅうと遊んだりしないんだね。」と言うと
「遊んでるよ?」と。
見た事無いけど。と言うのは我慢した。

すると、りゅうに近寄り喉を撫でながら
「よ〜しよしよし。」と。
「何してるの?」と聞くと
「前飼ってた犬はこうしたら喜んだから、りゅうも喜ぶと思って。」
馬鹿じゃないの?
けいちゃんは、喉撫でられたら気持ちいいの?
本気でそう思っているんだろうか?
神経を疑う。

「止めてよ!!!」
もうりゅうに触らないで・・・。

犬を我が子のように可愛がるのと
我が子を犬のように可愛がるのは違うだろ。

これが父親。
これが旦那。
りゅうをペットだと思っているんだろうか。
やり場のない怒りと悲しみ。

りゅうを連れて家を飛び出したくなった。
でも行く所が無かった。
間違っても実家には行けない。

お風呂は私が入れた。
けいちゃんは「お湯に落としそうで怖い」と言う。
私も怖いけれどね。
同じ気持ちでも、やるのが私というのは、私が生んだからなの?
「じゃあ入れるから呼んだらりゅうを受け取ってね。」
左手首の腱鞘炎は酷くなるばかりで、もう日常の事も出来ない状態だった。
沐浴練習の時に看護婦さんが言った言葉を思い出す。
「今は昔と違って育児に協力的な旦那さんが多いですからね。
男性は力が強いから、お風呂はパパにお願いしてね。」
うちはそんな家庭には含まれなかったという事だ。

そしてりゅうを洗いけいちゃんを呼ぶと返事がない。
いくら呼んでもけいちゃんは来ない。
タオルさえ準備していないのだ。
濡れたままで、りゅうを抱っこしてリビングに行くとテレビを観ながらけいちゃんは寝ていた。
「なんなのよ!!!」
りゅうが風邪でもひいたらどうするの?
お風呂に入れられないなら、服を着せるくらい、タオルでりゅうをふくくらいやってよ。
怒りがおさまらないまま、私はまたお風呂に入り直す。
そしてボロボロ泣いた。

それが毎日なのだ。
「今日は絶対眠らないでね。」といくら呼んでも、けいちゃんは寝てしまう。
かと言ってけいちゃんが来ないだろうとタオルを準備しておくと信用されていないと気分を悪くする。
何度濡れた体でりゅうを抱き、タオルを取りに行っただろう。

オムツ替えは
「テープの調節が分からなくて、お腹を締めすぎたら怖い」のだそう。
ミルクは
「火傷させそうで怖い」のだそう。
抱っこは
「落としそうで怖い」のだそう。

何なら怖くないの?
何なら手伝ってくれるの?
りゅうが生まれて喜んでくれているの?

私だって怖い。
ふにゃふにゃで着替えだって授乳だってオムツ替えだって、何一つ手際良くなんて出来ない。
だけど、りゅうに快適に毎日を過ごして欲しいじゃない。
幸せだって思って欲しいじゃない。
一日も早くこの人がママなんだって分かって欲しい。

この家には私とけいちゃんしかいないのだ。
けいちゃんがやらないなら、全部私がやる事になる。
それを分かってくれているんだろうか?
私も怖いからやならいと言ったら、りゅうはどうなるんだろう?
やっぱりりゅうには私しかいないんだ。
良くも悪くも全て私次第。

りゅうの病気と、けいちゃんの態度と。
慣れない育児。
命を支える重さ。
誰にも話せる相手がいなかった。
頭痛も起きたが、母乳をあげているので薬は飲めない。
自分の体調不良なんかに構っている暇はなかった。

気持ちが違い過ぎるんだ。
程度の差なんかじゃなくて、気持ちがある場所自体が違う。
妊娠した時だってそうだった。
けいちゃんはずっと同じ場所にいて、私はキャバクラ嬢から妊婦、主婦、母親と目まぐるしく環境と気持ちが変化している。
2人の距離はどんどん離れて行った。

ブドウ球菌

2008 - 07/08 [Tue] - 15:39

2003年 春

やっと東京に戻ってきた。
里帰りをして4ヶ月。
4ヶ月もけいちゃんと離れていたのだ。
初めての出産だからと里帰りしたのに、手を貸す事は私の為にはならないと言うなら、初めから言って欲しかった。
どういうつもりで母は里帰りしたら良いと言ったのか、未だに気持ちが理解できずにいた。
血便は最終的に近所の内科医が
「痔です。赤ちゃんも痔になりますからね。多分切れているんでしょう。」
という結論を出した。
下痢のようなのに、切れる事なんてあるんだろうか。
そして痔のわりには、
「東京に行ってからすぐに小児科に行けないと困るから。」
と多めの抗生剤を処方された。

赤ちゃんの吸啜反応(口に触れた物を本能的に吸う事)が面白いと、父は煙草を吸った手をそのままりゅうに吸わせる。
私が見てると怒るから、見ていない時にやるのだ。
それを酔った時に笑いながら私に話す。
刺身を切ったその手も、そのまま。
「煙草で突然死の可能性が急激にあがるんだよ。」
と言うと
「お前達は煙たい部屋の中でこんなに元気に育ったんだぞ!!」
だから酔っぱらいは嫌いだ。

もうそんな事を気にしなくていいんだ。
少なくてもけいちゃんはそんな事はしないもの。
私の記憶は薄れつつあった。
妊娠中の東京での生活を。
毎日毎日泣いていた日々を。
あの日々が、実家にいた頃に比べたらまだマシのような気がしたのだ。

これで堂々とりゅうが寝ている時は私も眠れる。
日中は誰もいないのだから。
誰もいない不安より、解放された気持ちの方が強かった。

けいちゃんはりゅうに戸惑っていたけれど、最初はこんなもんだろう。
きっと徐々に慣れていく。
私がそうだったように。

りゅうは抗生剤を飲ませても血便が出るようになっていた。
東京に戻った翌日、すぐに小児科に行った。
紹介状を差し出す。
地元の内科医を知っている医師だったのは驚いた。
こんな離れた場所で。
世の中とは広いようで狭い。

検査をしてもらい、自宅に戻った。
すると、1時間もしないうちに病院から電話がきた。
「先生がお話があるとの事なんですが、今から戻って来れますか?」
なんだろう・・?
検査の結果明日と言われたのに。
急いでまた病院へ向かった。

「ちょっと気になったのですぐ検査をしたんですが、ブドウ球菌に感染しています。」
と医師に言われた。
ブドウ球菌・・。
それは地元でも聞いた言葉だった。
地元の内科医が検査した時に、極わずかだがその反応が出たと言ったのだ。
でも心配ないと・・・。
それを告げると
「一度そう言われたんですか?」と聞き返された。
だが最終的には痔だと言われた事も伝える。

「もう長期間抗生剤を飲んでいるでしょう?お腹の中には悪い菌もいるけれど、良い菌もいるんです。
その良い菌が抗生剤で死んでしまっているんですね。ブドウ球菌の数値が・・もの凄い数値になっています。お腹の中は悪い菌だらけです。
やたらに抗生剤を飲ませてはいけません。ブドウ球菌は怖いですから・・。」
飲ませてはいけませんと言われたって・・・。
私は言われた通りに・・・。

その時りゅうが排便をした。
医師が
「これは完全に下痢の状態です。赤ちゃんの便は確かに柔らかい。でもこんな感じではないです。痔なんて、とんでもない話ですね。」

そして整腸剤が処方された。

怖い・・・・・。
この2ヶ月間、誤った診断をされて、誤った治療をして。
りゅうは辛かったろうに。
私が飲ませていたあの薬のせいで、りゅうはこんなに悪くなってしまった。
薬を飲ませていた自分の姿が鮮明に頭に浮かび、鳥肌が立ち、震えが止まらなくなった。
この先も私が誤った事をすればりゅうは・・・。
全ての判断を私がしなくちゃいけないんだ。
医師とは、100%信頼出来るんじゃないんだ。
医師に対して怖いと思ったのは、初めてだった。
そして私がりゅうの命さえも左右させる気がして、不安になった。
人間一人の命を私なんかが支えられるのだろうか。
怖い・・怖い・・。

夜けいちゃんに一日の出来事を離した。
「良かったじゃん、原因が分かって。もう大丈夫なんでしょ?」
すぐに沈黙がやってきた。
思い出した。
この家には会話がないんだった。
沢山の人がいた実家と、自由を通り越して孤独な東京。
どちらがいいんだろう。
そんな事を考えていた。

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プロフィール

流月

Author:流月
小学生の頃から続く頭痛。
どことはなしに体が弱いのですが、結婚後鬱病になってしまいました。
後にパニック障害発病。
不安神経症や、解離性障害にもなりました。
結婚前はキャバクラ嬢。
現在は専業主婦で一児の母です。

好きな物
LArc〜en〜Ciel 
HYDE
浜崎あゆみ
倖田來未
音楽 ヨガ アロマ 癒しに関する事
お裁縫をしたい今日この頃。
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