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万引き
高校2年の頃万引きが流行っていて、私もやり始め、一体総額いくらくらい盗ったんだろう。
コスメ中心に毎日の様にしていた時期がありました。
私はバイトをしていたので、お金が無い訳ではありませんでした。
スリルを味わうのが楽しい訳でもなくて。
万引きすると、お金というものの価値が分からなくなりました。
別になくてもいいじゃんって思ったり。
もちろん、お金は物を買うためだけに存在する物ではないから、一概には言えないのは分かっていたんだけど、物を買うにはお金が必要というあまりにも常識的な事を壊すのが楽しかった。
行動はどんどん大胆にエスカレートして、ある日友達と一緒に捕まってしまいました。
奥に連れて行かれ、「盗った物を出せ」と言われ、ごちゃごちゃと出す。
警察に通報されて、パトカーが迎えに来ました。
友達は「親には連絡しないで!!」と泣き叫びました。
私は感情という物が湧き出て来なくて、でもその友達は親友だったから心配でした。
自分の親が私を怒るより、その子の親がどれ程怒るのかが気になりました。
クラスで成績はいつも1番の子でした。
パトカーに乗るとおまわりさんが「顔伏せておいた方がいいよ。友達が歩いてるといけない。」
おまわりさんは優しかった。
でも今バレなくても明日にはどうせバレるだろうと、私はそのままでいました。
友達は・・必死に顔を隠して泣いていたけれど・・。
未成年なので、当然親の迎えは必要で、両方父親が来ることになりました。
私は友達の事ばかりが気がかりで、話しかけたり、慰めたり必死だった。
私の父親が先に着き、普段と変わらず、友達に笑顔で話しかける私を見て
「お前は自分が何をしたか分かってるのか!!」ともの凄い声で怒鳴りました。
おまわりさんも一瞬息を飲みました。
私の感情がすっと冷めていくのを感じました。
脳みそに氷水を流された様な感じでした。
言葉に出なかったその気持ちは「じゃぁお前は私がどんな気持ちで今笑っているのか分かるのか?」
父の言葉を境に私は言葉を発しなくなりました。
怒りで言葉が出ませんでした。
万引きなんて大した事じゃないと思った。
それよりもそれによって引き起こされる、これから友達に起こる色々な事の方がよっぽど重大でした。
私が話さなくなり、友達の泣き声だけが響く室内は気まずい雰囲気だったのでしょう。
「お2人とも成績も良いみたいだし、初めての事だそうなので、魔が差したのでしょう。
お父さんもあまり怒らないであげて下さいね。」とおまわりさんまで気を遣い出しました。
「今までに万引きした事はあるか?」と聞かれて、「はい、あります。」と正直に言う人は一体何人くらいいるのでしょうか。
父は言い過ぎたと思ったのか、「ご飯食べて帰ろうか」「お父さんも実は若い頃は警察のお世話には何度もなったよ」と私に話しかけてきました。
機嫌取るくらいなら初めから余計な事言うんじゃないよ。
私はひたすら沈黙で、シカト シカト シカト。
友達の父親は動揺しきっていて、そこにいた全てのおまわりさんに「申し訳なかったです。ご迷惑をおかけしました。」と頭を下げていました。
その行為が私には余計怖かった。
そんな事もせずさっさと外に出てきた父。
「あそこまでする必要あるかぁ?」という言葉に少し気持ちも和らぐ。
しかも友達の父親に「疲れましたね〜お腹空きませんか?私はなかなか無い機会なので、流月とご飯食べて帰りますよ。娘と2人でご飯食べる機会なんてこの歳になるとあまりありませんからね。良かったらご一緒にどうですか?」
私はさっきまでの怒りも忘れ、吹き出しそうになった。
だけど、もう少し相手の表情を読んだ方がいい・・。
友達は泣きじゃくり、父親は怒りに顔が変わっている。
「結構です」
でしょうね。
「こういう日は豪勢にいかねばならん!」と父。
何故かステーキを食べた。
私が何故必死に話していたかを父に話す。
「そうだったのか。それは悪かった。でもお父さんも途中から部屋に入って何も知らなかったな・・。確かにあのお父さんなら、これから大変だろう。自分の娘だけはそんな事をしないと思っている。だけどお父さんは違うぞ。お前がした事はお前が悪い。自分でそうしようと、誰に誘われようと、そうしたのはお前だ。だけど過ちは誰でも起こす。繰り返さなければいいんだ。過ちを起こすという事が分かったろう?」
答えはしなかった。
「もうしないよ。」とは言った。
とにかく、今回の事で私は親に心配をかけ、悲しい思いをさせてしまったと思いました。
帰る頃はもう2人で笑って全然違う話をしていましたが、父が家に入る時
「お母さんが待っているから、真剣な顔して入るんだぞ」と言うからまた笑ってしまいました。
家に入ると母がいて、何て事はない顔で「お疲れ様〜」
うちの親は肝が据わっているなと・・。
「ご飯食べてきた?」と母。
「ステーキ食ってきたぞ!!」と父
「あら良かったわぁ。今から晩御飯食べるなんて言われたら準備してないからどうしようかと思ってたのよ」と母。
その次の日から一週間の停学が決まりました。
友達の父は「裁判を起こす」などと訳の分からない事を言い出し、うちの父が止めたり、大変な日々でした。
陰口をいうクラスメイトもいました。
男友達の方は誰も変わらず、家にも遊びに来たりしていました。
態度を一変させた先生もいました。
「流月といたら真面目だった友達が変わってしまった。流月のせいで万引きした」と先生に言われました。
「流月に誘われて、娘が大変な事をしでかした。流月のせいだ。あんな子といるから娘がこうなった」友達の父親に言われました。
私は一言だって誘ってなんかいない。
けどどうでもいいよ。
好きに言ったらいい。
悲しくなかった。
親と彼氏が味方してくれたから。
「好きに言わせておけ。」
父の口から出たその言葉は、それだけで十分私を安心させた。
停学明けにあった期末テストで私は1番、友達が2番を取りました。
皆複雑な顔。
さぁどうする?誉めるか?貶すか?
「流月っぽい!」
大笑いしたのは、いつも一緒の男友達達でした。
懐かしい高校の思い出。










